新元号『令和』解説 ※4/2他の選考案を追加

新元号『令和』解説

本日、新元号が『令和(れいわ)』になることが発表されましたね。

そこで、元号の意味から『令和』の出典まで徹底解説していきたいと思います。

元号とは?

元号とは、東アジアで特定の年代を呼ぶ称号です。『年号』と呼ばれることもあります。西暦と対比して、『和暦』と呼ばれることもあります。

年数を数える制度としては、西暦が有名ですが、西暦と元号では、年数を数える期間が異なります。西暦は無限の年数を数える数え方なのに対し、元号は数える年数に終わりがある、有限の数え方です(平成は31年で終わりますが、西暦は2019年以降も永遠に続きます)。

日本で、最初に使われた元号は『大化』になります。元号の『大化』は、西暦645年7月17日から、西暦650年3月22日の期間に、使われていました。『大化』から『平成』までに使われた元号の数は、247個で、『令和』が248番目の元号になります。

改元:元号を変えること

元号を変えることを『改元』と呼びます。

明治以前では、天皇の即位時以外にも、天災が起こったときなどにも改元が行われるなど、任意のタイミングで改元されてきました。そのため、今までに即位された天皇の人数よりも元号の数の方が使われています(平成までの天皇の人数は123人、のべ125人、南北朝時代を合わせると128人。元号は247個)。

しかし、明治に改元した際に、一世一元の詔を発令し、新天皇が即位するときにのみ改元にするように定められました。第二次世界大戦後は、元号の法的根拠がない状態が続いていましたが、西暦1979年(昭和54年)に『元号法』が制定され、皇位の継承時に限り、元号を変更することが、法的に定められました。こうした経緯があり、明治以降では、1人の天皇につき、1つの元号のみが使われています。

新元号の決め方

新元号の決め方は、『元号法』という法律で定められています。

元号法
 元号は、政令で定める。
 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。
附 則
 この法律は、公布の日から施行する。
 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。
e-Gov(総務省行政管理局)より

『政令』とは、内閣が発行する命令ですので、内閣だけで新元号は決められます。新元号の決定に、国会議員は関与しません。そのため、菅内閣官房長官によって、新元号が発表されました。平成の発表時も、小渕恵三官房長官が発表されていましたね。

『元号法』は、シンプルな法律ですので、新元号の選び方は詳しく書かれていません。元号の詳しい定め方は、1979年の閣議(大平内閣)で定められています。

元号選定手続きについて
元号法に定める元号の選定については、次の要領によるものとする。
1 候補名の考案
(1) 内閣総理大臣は、高い識見を有する者を選び、これらの者に次の元号とするにふさわしい候補名(以下「候補名」という。)の考案を委嘱する。
(~中略~)
(2) 候補名の考案を委嘱される者(以下「考案者」という。)の数は、若干名とする。
(3) 内閣総理大臣は、各考案者に対し、おおよそ2ないし5の候補名の提出を求めるものとする。
(4) 考案者は、候補名の提出に当たり、各候補名の意味、典拠等の説明を付するものとする。
国立公文書館デジタルアーカイブより一部抜粋

元号名は、国文学、漢文学、日本史、東洋史などの学者に考案が依頼されます。今回の元号の考案は、『平成』になってから始まったようです。30年もの考案期間があって、『令和』が決まったと思うと、感慨深いですね。

新元号の条件

新元号は、何でもよいわけではありません。新元号には、新しい時代を象徴するような良い条件が必要です。

そうした新元号に必要な6つの条件が、1979年の閣議(大平内閣)で決められています。

  1. 国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること。
  2. 漢字2字であること。
  3. 書きやすいこと。
  4. 読みやすいこと。
  5. これまでに元号又はおくり名として用いられたものでないこと。
  6. 俗用されているものでないこと。

国立公文書館デジタルアーカイブより一部抜粋。送り番号のみ「イロハ」から「算用数字」に変更

新元号には、国民に広く親しまれるような6つの条件が付けられています。

また、これとは別に、役所などの手続きに支障が出ないように、明治・大正・昭和・平成のイニシャル(M・T・S・H)と被らないものにする、という暗黙のルールもあります。

新元号『令和』の出典

『平成』までの元号の出典は、すべて中国の古典でした。

しかし、今回の新元号『令和』は日本の元号史上初めて、日本の古典(日本最古の和歌集である『万葉集』)を出典としています。

原文
于時、初春月、氣淑風、梅披鏡前之粉、蘭薫珮後之香。
書き下し分
時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫らす
現代語訳
時あたかも新春の好き月、空気は美しく風はやわらかに、梅は美女の鏡の前に装う白粉のごとく白く咲き、蘭は身を飾った香の如きかおりをただよわせている。
中西進『万葉集』より

他の選考案

新元号には、『令和』が決まりましたが、他の選考案には、どんなものがあったのでしょうか。

『元号に関する懇談会』には、次の6つの案が提示されたことが、政府関係者により明らかにされています。

選考案 出典
令和(れいわ) 日本最古の和歌集『万葉集』
英弘(えいこう) 日本最古の歴史書『日本書紀』
広至(こうし) 日本最古の歴史書『日本書紀』
中国最古の詩集『詩経』
久化(きゅうか) 漢籍(中国の書籍)
万和(ばんな) 中国の詩文集『文選(もんぜん)』他、漢籍(中国の書籍)
万保(ばんぽう) 漢籍(中国の書籍)

新元号の選考メンバー・選考過程

新元号の考案・選考過程をまとめると、以下のようになります。

  • 学者による考案
  • 官房長官を中心に案の絞り込み
  • 有識者会議(元号に関する懇談会)
  • 閣僚会議

学者による考案と絞り込み

まずは、国文学、漢文学、日本史、東洋史などの学者によって、元号名が考案されます。

『令和』の考案者としては、故文学者の中西進氏の名前が挙がっています。しかし、本人が公表を望んでおらず、新元号と考案者を結びつけることを防ぐために、政府は考案者の名前は公表しない方針です。

元号の考案は、『平成』になってからすぐ始まり、100以上の案が集まったようです。官房長官を中心に、それらの案から6案に絞り、選考過程に進みます。

元号に関する懇談会

新元号制定のための有識者会議(元号に関する懇談会)には、以下の9名が参加されています。

氏名 役職等
上田良一 NHK会長
大久保好男 日本テレビ社長
鎌田薫 日本私立大学団体連合会長、前早稲田大総長
榊原定征 前経団連会長、東レ特別顧問
白石興二郎 日本新聞協会長、読売新聞グループ本社会長
寺田逸郎 前最高裁長官
山中伸弥 京都大iPS細胞研究所所長、ノーベル医学生理学賞受賞者
林真理子 作家
宮崎緑 千葉商科大教授

有識者会議での意見を参考に、内閣による閣議で新元号が決定されました。

令和・西暦の換算

西暦から令和への変換:西暦の下2桁から18を引くと令和年になる

2019年5月1日から、元号が『令和』になります。今回の元号の切り替えは、発表から1か月後ですので、注意してください。

西暦2019年が令和1年ですので、西暦の下2桁から18を引くと令和年になります。